その後の2人


「フェリア…首、を締めるのは…やめ…てくれないか…」
 マントを力任せに引っ張るものだから、首がぎゅうぎゅうと締まる。
「あら、ごめんなさい」
 ぱっと手が離されると同時に思いっきり空気を吸いこんで咳き込む。
「けほ…っまったく…君ときたら…」
「ごめんね。でも、何でもかんでも内緒にするあなたも悪いんだからね」
 謝ってはいるものの、明らかに不機嫌。
「それは謝る。すまなかった」
 これ以上刺激すると自分の身が危ないと即座に謝る。
 確かに…何も言わずにいた私も悪かったのだし。
「次に何かする時はちゃんと私も混ぜてよね」
「分かった、約束する」
 儀式が終わってもしばらくの間人々の願いは月へと向かう。
 その光を見つめてふと思い出す。
「何か願い事はしたのか?」
 “ん〜”と何事か考えた後、悪戯を考えているような…何とも嫌な予感のする笑顔を向ける。
「知りたいぃ?」
 ここで“いや、いい”と言えば絶対にへそを曲げるのが目に見えているから・・・
「まぁな」
「うんうん。それなら答えてあげよう」
 にこ〜っと笑って、
「次は男の子が欲しいっ!」
 え?
「ちょ…ちょっと待て」
「トラップのところには男の子も女の子もいて羨ましいんだもん」
「いや、だからって…」
 わざわざ月に願うような事か!?
 そんな事を思う私の顔をじっと見ていたフェリアは、ぷ…っと噴き出すと大声で笑いだした。
「冗談よ、冗談。
 だって、シェアラは半分男の子みたいで 今でも十分男の子を育ててる気がしてるもの…あれ、どうしたの?」
 脱力して、その場に崩れる私の肩をゆさゆさと揺らすフェリア。
「い…いや、別に…」
 どうにか気を取りなおして立ち上がった私は改めて問い直す。
「で、本当は何を願ったんだ?」
「それは…秘密。
 願い事なんて人に言うものじゃないわよ。…でも、あなたは何をお願いしたの?」
 これだから…
 苦笑いを浮かべた私は“人に言うものじゃないんだろう”と切り返す。
「あぅ…」
 言わなきゃよかったと言いたげな表情のフェリアを横目に私も1つの願いを心に思い浮かべる。
 そうして、手の中に現れた小さな光を見て彼女が声を上げる。
「あっ、まだお願いしてなかったの?」
「そうだよ、ほら行け!」
 いくつもの星と光がきらめく空に溶ける私の願い事。
 叶う時が来れば、心置きなくこの時代この世界から消えることも出来ようものだが…




エアトルの願い事。 はっきりとは書きませんが、彼が彼である間はなかなか叶いそうにないものですね。
それにしても…昔に比べてなんてほのぼのしてるんでしょ・・・この人(笑)

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