■ 紡いでいく絆 ■


 遥か昔、1人の女の子がこの世に生まれた。
 赤い髪、緑の瞳。
 周囲の大人たちは、申し子が生まれたかと色めき立った。

 だが、それは先走った想像に過ぎなかった。

 途端に失望する大人たち。
 それだけならまだしも、事あるごとに口に出して言うのだ。

「お前は何故力を持たずに生まれたのか…」

 心無い人々の言葉にも、彼女は挫けなかった。
 前向きに生きて、成長した彼女は恋をしていた。
 次代の申し子を守る騎士の1人に…
 妹の様に可愛がっている少女を優しく見守る彼を見て、彼女は心を奪われた。

 何も言えずに時は過ぎ。
 ある時、少女が行方知れずになった。
 もちろん彼女は彼に事情を聞きに行った。
 どうしても、自分の耳で確かめなければ、信じられなかったからだ。

 そうして、彼の口から全てを知った。

 “どうして、私は選ばれないの…!”

「どうして…あの子だけが…どうして…!?」


 愛すべき少女はその瞬間から憎むべき物となった。
 力だけでなく、想い人の心まで手に入れた少女。
 少女のせいではないと分かっていても、傷付いた心から溢れる物を押さえることは出来なかった。




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