□ 壁に耳あり障子に目あり □
「ごちそうさまでした」
すぐそばで聞こえた声に目が覚める。
口の中に残るのはアルコール。
あれ?でも、昨日は飲んでないはずで…
ついでに胸元がやたら涼しいし…って!
「ご、ご馳走様って何ですか一体!」
はっきり覚醒した意識で跳ね起きれば、にんまり笑みを浮かべた女性。
「起きた起きた」
「起きたじゃありません!一体何ですかって聞いてるんです」
すっかり余裕の無い私に対して、耳の先まで赤くしたフレイア様が言ったのは…
「4人目生まれるかなぁ…」
ちょ、ちょっと待って…
混乱しきった頭で考えるうちに、1つの答えを導き出して一気に血の気が失せる。
「あ、おはよ」
今思い出したと言った感じで軽く挨拶されても、こちらは返事も出来ない。
「よく眠ってたね」
「は、はぁ…」
記憶がまるっきりない。
酒には強いはず、ざると言われた2人を立て続けに負かせたことだってあります。
だから…そのせいで記憶が無いとは思えないですし…
アルコールには勝てても、睡魔には勝てない…のでしょうか。
腕を首に回してしな垂れかかる相手を引き剥がして立ちあがる。
「ん?どこいくの」
「ちょっと着替えてくるだけです」
一歩踏み出した足元に転がるバーボンのビン。
「こんな物まで持ち出して…」
怒るのを通り越して、苦笑い。
それを片付けて、着替える前に取り出したのはミルク。
「はい、これでも飲んで大人しくしていて下さいね」
「子供扱い〜」
頬を膨らませて不満そうですけれど、素直に口にしているのを見届けてから着替え。
「あ、Schneeさん♪」
同じ世界に来たと分かった瞬間、耳に飛び込んできた声に即座に反応して、扉を綺麗に封鎖。
「うわ〜…」
「追いかけるのは厳禁ですから」
「やきもち焼き…」
聞こえないように呟いたつもりでしょうけれど、しっかり聞こえてますよ。
「何と言われようとも結構です」
それにしても、やっぱり解せないんですけれども。
いくら、眠かったとはいえ…
首をひねって考えていると、くすくす笑いが響いた。
「嘘」
はい?
「ちょっといたずらしたけど、そこまでは無理だよ〜」
「い、いたずら?」
“うん”と1つ頷く。
「ちょっとキスマークがついたぐらい」
ぱたぱたぱたっと身体をはたきまわして…一体どこにっ!
軽い足取りでやってきた彼女に、1つ2つ3つと指差されて、安堵のため息。
「それならハイネックだし、隠せますね」
ほっとした所で、ようやく落ち着きを取り戻して“朝食でも…”と立ち上がりかけて…
世界移動の様子を見ていたフレイア様が声をあげる。
「あれ?」
「ご兄弟勢ぞろいですね」
全員いらっしゃるのを見かけるのは、珍しい気もします。
「…押しかけたいな♪」
当然のごとく、顔が引きつる私。
「やきもち焼きさん♪」
にっこり笑顔で返されて“参ったなぁ…”と伸ばしかけた手が止まる。
ちょ、ちょ…ちょ…ちょっとどうして、ここでプリブが来るんです!?
こちらの会話が筒抜けになってたのではないかと一瞬勘繰ってしまうほどの、ピンポイントなタイミング。
実際には、まったく関係の無いことだったのですが…さすがに一瞬で顔がゆでダコに。
「サーラ?」
固まった私にフレイア様が不思議そうな表情で問い掛ける。
「あ、いや…な、何でも…」
「ん〜…まぁ、いいや、おやすみなさい」
くるんっと丸まって横になる彼女に「おやすみなさい」と声をかけて…ため息。
ネタの宝庫で…迷った挙句に、結局UP決定しました。
ただでさえ、ご兄弟の行き来が激しくて「な、なんか…落ち着かない」とずっと思っていたのにプリブ到着w
普通なら「ぉ?」って感じで返すのに、つい素で「は、はい!?」と激しく動揺。
ちなみに、冒頭のアルコール…口移しなんですよね〜(^^;
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