ねこの好きな…?


 うちのねこ…ビオラは子供らしく“好きな人”が大勢いる。
 ねこ族ではよっていさんとリーズンちゃん。人ではバーテンさんやウェイトレスさん、ロビンちゃん…
 ともかく大勢過ぎて、全てを挙げることなど出来やしないんだが、近頃それにまた一人…

「ご主人様、その人誰でし?」
 じ〜っと私の手元の絵を覗き込む人の姿のねこ。
「あぁ…彼はWill君。Schneeさんの弟だよ」
 答えれば“ふぅ〜ん、そうでしか”とつぶやいて、部屋の中をぽてぽて歩き回る。
 そうして、突然止まったかと思えば一言。
「かっこいいでしね」
 いや、まぁ、そうだが…
 さっきまでの長い間とその言葉の唐突さは何だ一体。
「そろそろお店見てくるでしね〜」
「あ…」
 どう聞こうか悩んでいる間に、ねこは部屋を飛び出していってしまう。
 私の使い魔となった時から成長が極端に遅くなっているねこはまだまだ子供のはずなんだが…
 昔、さっきの様子と同じものを見たことがあって、どうにも落ちつかない。
 そう…
「父上、その子誰?」
 とヴィエルを指差していった娘は気がつけば…
 あぁああ…また同じ事になるのか!?

 悩んだ末、サーラに相談すると彼は全身を震わせて笑った。
「まだ子供じゃないですか…そんな心配必要無いですって」
 子供子供といってるうちに大きくなってるものなんだ。
 そう思いながら黙っている私に対し、彼はなおも笑いが押さえられないのか、引き結ぶ口元が引きつっている。
「だいたい、ヴィエルの時は彼女も153歳になっていたでしょう?それと比べちゃおかしいですよ」
「そんな事言ってるから、リーナをフォルクに盗られるんだ」
 ぼそっとつぶやけば、その笑いもさすがに止まる。
「いや、それは…気付いてなかったわけじゃぁないんですけども…
 “諦めなさい”とは言えなかったし…言えないし…大体フォルク様だって…」
 ぶつぶつぶつ…
 恨み言交じりにつぶやくサーラを見ていると悩むのが何だかバカらしく思えてくる。
「まぁ、いつかはいい相手を見つけてやりたいとは思っていたから、別に構わんと言えば構わんのだが・・・
 でもなぁ…やっぱりねこじゃないとなぁ…」
 ねこ族のよっていさんやリーズンちゃんなら、別段気にしないが、人だとなぁ…
 近頃夢見で見合いや結婚が流行っているっていう辺りが理由の一つかもしれん。
 普通のねことして成長していれば、そろそろ見合いぐらいしていそうなものだ。
「なるようになるんじゃないですかね〜…
 そもそも、ビオラちゃんじゃWill君困ると思いますよ」
「まぁなぁ…」
「それに、遊んでくれそうな…と見れば、Schneeさん達兄弟の中ではWill君が一番そう見えますって」
 ふむぅ…そんなものかなぁ。
 確かにCHELSEAさんでは噂を知っているねこが怯えそうだし、Schneeさんは忙しそうで声をかけにくそうだ。
 その点Will君なら女の子であるねこには優しくしてくれそうなもんだが…
「そういえばKetroさん。
 彼女を子供扱いしたそうで、ビオラちゃんが相当腹を立ててましたねぇ…」
 くすくす笑うサーラが非常に面白そうだ。
「ま、子供扱いされて怒る辺りが子供だな」
 そんな様子なら大丈夫だろう。

 …と思ってたんだが、
 店をサーラに押し付け、NOIまで出てくるあたりで“どうしたものか”と本気で悩む。
 しかも“10年後には個人商店の開かずの間へ一緒に行こう”という約束までしている。 
 ”鍋やプールは入ると危ないから”と言っておいたから、見るだけで入りたいとは思わないようだが、
 開かずの間に関しては“絶対にあの場所には入るんじゃないぞ”としか言わなかったのが、ここに来て裏目に出たらしい。
 仔猫らしく好奇心たっぷりのねこに、理由も言わず“入るんじゃないぞ”とだけ言うべきじゃなかったんだ。
 でも、言わなければ、何の疑問も抱かずあの大声を…
 いや、二人で行くよりは一人のほうがよっぽどマシだ!
 それに、Will君は冗談で言ってるんだろう。きっとそうに違いない。そう信じたいんだけどなぁ…
 もし、10年後…本当に「一緒に行こう」と言ったらどうするつもりなのだろう?
 色々考えてみても、もう既にどうしようもない状況になっている気がするのはただの思い違いか…それとも、現実か。
「ご主人様ッ」
「うわっ!!」
 考え込んでいる私の足に突然飛び掛ってくるねこの影。
「わたしを大人にして欲しいでしっ」
「はい…っ?」
 ぎゅぅう〜っとしがみついて見上げる目が真剣そのもので、思わず呆然とする。
 そ、そういえば…“頼んで大きくしてもらおう”とか考えていたような。
「だっ・・・ダメだ!」
 慌てて、首を横に振る。
 これで成長なんてしてみろ、どうなるか分かったもんじゃないぞ。
「どうしてでし?」
 じ〜っと見つめる視線が何だか痛い。
「それはだな…その…」
 こういう時はどう言えばいいんだろう。
 開かずの間の説明なんか出来ないし、したところで理解できないだろうし。
 あぁあ、フェリアがいてくれれば何とか言いくるめる事も出来るんだろうが…
「何でダメでし?」
「いや…だから…」
 …誰か助けてくれ…




エアトルには何も言えません。ただうろたえるだけで、あっちこっちに思考が飛んでます(情けない…
これがサーラなら「見た目だけ大人になっても、中身が子供なら意味は無いんだよ」とか言って何とかした事でしょう。
やっぱり、奥さんと自分の娘、2人の女の子を育てた経験は大きいですから…
(↑「?」と思う方はトラップとサーラの年齢差見てください(笑)
というわけで、夢見からおでかけ中のビオラちゃんのミニエピソードでしたw
時々遊んでくれるお兄さんになってくださいね〜Willさん♪
と言いつつ…この後どうなるのかお楽しみ。
だって、私のキャラの中で唯一恋愛可能キャラですもの(爆)

何だか相方がチラッと話してしまって、(※)ドレインジャー出動騒ぎまで起きているようなので、こういう形で出してみました。
朝、メールチェック先にしててよかった…(−−;

(※)ドレインジャーとは夢見の平和を守る正義の集団です(^−^)
頑張れ我らのドレインジャー♪行け行けみんなのドレインジャー♪(ぇ

(と…ここまでは以前のコメントそのままです)
隠しから移す際に念の為。私はドレインという物が大嫌いですよ…使うのも使われるのも(’’;

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