平安京住宅問題


 エルディア王宮…一部の者にしか入れない図書館の片隅で、現申し子4人が会議中。
 と言っても、発言しているのは赤と青それぞれの筆頭神官でもある兄妹のみ。
 副官でもある青年たちは、お互いに顔を見合わせて2人の会話の黙って聞いていた。
「だーかーらーっ!私たちが放棄して別に建てればいいだけでしょ」
「土地もろくすっぽ無いこの状況下でよくもそう軽々しく言える物だな」
「今から2人で探すからいいもん」
「そもそもそっちは作った物を元に戻してから移動しなきゃならん分、手間がかかるだろうが」
 言い合う2人に青年たちは一歩二歩とその場から離れた。
「まだ当分終わりそうにないですね…」
 一方より幾分背の高い青年がつぶやくと、柔らかな光を放つ金髪の青年がその外見に似合わないげんなりとした表情で返した。
「そう思うなら、お前が一言言えばいいだろう
 “エアトル様の好意に甘えましょう”でも“後から作った我々が退くべきでしょう”でも…
 お前がはっきりしないから2人がもめるんだ」
 年下の青年のもっともな指摘に彼は苦笑する。
「一番優柔不断なあなたに言われるとは思いませんでしたよ、フォルク様」
 一番と言われた彼は心外だと言わんばかりに眉をひそめたものの口にはしない。
 自分の中で吹っ切ったつもりでも、どこか澱んでいる部分があるからなのだろうか。
「それより、もしエアトル様が出て行くとして、持ち物はどうするつもりなんだ」
 幼馴染の性格を良く知る彼は、今回の騒ぎで持ち出した物もそれ相応にあるだろうと予測していた。
「そうですねぇ…魔法は前々からほとんど☆海に集めておられたようですから、そこになるでしょうし…
 他は適当に分けるんじゃないですか」
 “優先順位をつけて壊す手もありますよね”との笑顔で嫌な予感がするフォルク。
「なくしたくないから運んだんじゃないのか?」
「状況変化と言う物があるでしょう」
 さらりと言ってのける青年に“本人が嫌がってもやるときはやるだろうな”と向こうでまだ言い合っている幼馴染に内心同情をした。

「よし、こうしよう」
 終わりなき言い合いを先に打ち切ったのは兄の方。
 妹がまだまだ言いたいことがあると顔でありありと示すのを遮って…
「私の持ち物を一時預かっていてくれ。これで貸し借り0だ」
「え〜っ!?」
 不満たっぷりの声。
「“え〜っ”じゃない」
「だって、兄さんって、何でもかんでも取っておきたがるじゃない、一体どれだけあるって言うのよう」
「たいした数はない。たかだか250個ほどだ」
 口を尖らせて抗議するのを、受け流して答える。
「断るっ!!」
 ため息をついた彼は“全部を預かれと言っているわけではないんだがな…”と続けた。
「今回手をつけていない場所のアイテムを整理したら空のサークルが5つは出来るはずだ。あらかたの物はそこにつめる。
 だから、そっちが預かるのは…そうだな、50ほどでいい」
 それを聞いて“ん〜…”っと上を向いて考え込む彼女の頭の中では、くるくるとサークルのアイテムの数が回っていた。
「よしっ!可愛い物いくつかで手をうったげる!」
 ある意味予想の範疇とも言える返事に、兄は苦笑いを浮かべる。
「…今までいくつかやっただろうに」
「それとこれとは別っ!どぉ?」
 ちらっと後ろで話し込む2人の青年を見やった彼は、そのままの表情で頷いた。
「ただし、譲渡不可物もあるからどれでもというわけにはいかない。
 私がこれならいいと決めた物から選ぶこと、いいな」
 “好き勝手に選ばせると、サーラが後で大変だからな”
 彼女にかかればどんな物でもいろんな意味での凶器になるというのに…認識の甘い彼であった。

 
 その後…平安京の課金システムが緩和されたり、一時見送りになったりして、
 無理に預かってもらう必要がなくなるのは…気紛れ神様のいたずらなのかもしれない(笑)




結局預かってもらったけど(爆)
でも、リサイクルに回したりして総数をかなり減らして、ほとんど自室に(>w<)
アイテムは引き取る時に渡す約束なんですけれども…
“実用性よりも可愛さ第一”が共通意見だから、私の好みで選んでも大丈夫かも?
…サーラの時みたいに墓穴を掘らないようにしないと…(がたがたぶるぶる

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