親愛なる妖精の仲間達へ
そろそろ新緑の季節が訪れました。
こちらでは孫に全てを委ね、彼も私も穏やかに生きています。
毎日大事な家族に囲まれて、もうすっかりおじいさんおばあさんです。
あの時の苦しかった事も悲しかった事も全て時が優しい思い出に変えてしまいました。
そのせいかあの時の事はもうおぼろげにしか思い出せなくなっているんですよ。
移り変わる時の中で永遠を生きるあなたたちはどうされているのでしょうか。
時折私たちの事を思い出してくれているのでしょうか。
今もきっとあの時と変わらないあなたたちともう一度…
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ガランガランと鐘の音が鳴り響く。
それは2つの色に愛された女性を悼み、空へと消えて行った。
「…やっぱり私だけが残されたか」
自嘲の笑みを皺の刻まれた口元に浮かべ彼は呟いた。
「ズルイよなぁ…」
幸せな2人を見るのが楽しかった。
仲良く微笑む2人のそばにいるのが幸せだった。
彼の思い出を2人で語り合うのが好きだった。
しかし、その満ち足りた日々が戻る事はない。
自分の愛した彼らはもうこの世にいない。最後の最期まであの2人は自分を置いて行ってしまったのだ。
「でも…彼女もよくこんなに長く手紙を書き続けたものだね」
彼女が出しそびれた手紙を手に彼はひとりごちた。
届く返事を誰が書いているかという事は開くまで分からなかったのだが、
それさえも楽しみの一つにして、彼女は彼らとの別れから半世紀近くに渡り、通信を続けていた。
”アーフェが続けてたからって、私が引き継ぐ事はない…ね?”
さらさらと紙にペンを走らせた彼は、残された手紙とともに封をし、人に使いを頼んだ。
最後の手紙…
自分たち3人と別大陸で暮らす彼らとのやり取りはこれで終わる。
自分たちは幸せだった。
1人になった今この瞬間でも、3人一緒だった時の事を思い出すと幸せな気持ちになれる。
「うん…きっと最後まで幸せだね」
例え、命尽きる時を1人で迎えようとも。
「若返った2人に迎えてもらうってのもいいかもしれないな」
あの世では一番好きな時間の姿でいられるというから、2人ともあの時の姿でいるに違いない。
生きていく事に精一杯で、失う事の恐怖を知らなかったあの瞬間の自分たちで。
大きく伸びをして、立ち去った机に置かれた紙の上。
彼のメッセージが薄く残る。
『あんたたちと一緒にいた時の事。絶対に忘れないよ』
冒頭のメッセージはアーフェルのPLであった方が寄せてくださったものですw
で…更にインスピレーション。こんな風になりました。
手紙の“彼”って本当はシーダルなのだと思うけれど…あえてサリューガにすり替えてます。
微妙に神経質なシーダルが最後に残るとは思えないので(たくとんゴメン、とことん損な役回りで(。。
書き忘れた事なのですが、これの前(?)にあたる『古き友人たちへ』は、
PHIより少し後の時代をイメージしていたりします。
同時としても時間軸はおかしくないのですが“エルフの感覚で思い出となっているか”と考えると…
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