□ 願い □
そこに立つたびに私はかつての自分を思い出す。
抱いていた期待のみならず、大事にしていた者までも奪われたと知ったあの時の事、その後の事。
忘却の彼方へと封印出来ぬ事が長き年月を生きる自分に与えられた罰。
今思い出しても決して抜けぬ棘として、心の奥底に深く突き刺さる自責の念、罪悪感。
それらを抱えて私は今もここに在る。
目の前の事実にあっさり屈してしまい“もう2度と会う事はないだろう”と思い込んだかつての私とは、まるで違う道を選んだ彼…
忘れえぬ人への想いを抱き、諦めず日々を生きるその姿を見ていると人とは何と強いものなのだろうと思う。
願わくば…我が友人が私と同じ過ちを犯さぬよう…
希望がいつまでも希望のままでなく、いつか叶うように…
秘めた想いを伝えよう
扉を叩いて、心を閉ざした住人に届くよう祈りを込めて
わずかに開かれた扉から貴方は誰を見る?

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